長い年月を経て巡り会った服、「アンティークリネンのプルオーバー」

“アンティーク”と聞くと、皆さんはどういうものを想像されますか?
骨董品、家具、食器、時計などなど、色々考えられると思います。

そもそも「アンティークって何?」と思い、定義を調べてみました。
どうやら“100年以上前につくられたもの”というのが一般的だそう。

背景として、 1934年にアメリカ合衆国で制定された通商関税法に「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」 という文面があり、関税がかからないことが明記されています。
100年という基準は、ここからきているようです。

しかし、これはあくまで法律上判断するためのものですので、定義としては少し適切ではないと判断し、「西洋アンティーク鑑定検定試験協会」より、妥当だと考えられる定義を引用させていただきます。

『アンティーク』とは、現在ではとても製造できないハンドメードの優れた美術工芸品で、芸術的価値のあるもの、という概念が一般的です。

西洋アンティーク鑑定検定試験協会 公式ブログより

あくまで経過年数ではなく、現在において再現・実現可能性が非常に低いもの。
これは納得できます。

 

すみません…。前置きが少し長くなってしまいました。

「なぜ、アンティークの話を出したか? 」
それがわかるような服を、今回はご紹介させていただければと思います。

アンティークリネンのプルオーバー

こちらは、1930年代のブラックリネンを使用したプルオーバーになります。

見るからに漂う雰囲気…!!

こちらはブランドのものではなく、フランスでArtisan(アルチザン)と呼ばれる職人が、自分自身で着用するために制作したものになります。
生地が古く、縫製は現行のものです。タグや洗濯表記も一切ありません。

生地の表面はざらざらとしていますが、チクチクとした不快な肌触りはまったくありません。
リネンとは思えないほど、ガシガシとした厚みのある生地です。
しかしながら、リネン特有の通気性はあり、またゆったりとした身幅が快適な着用感を与えてくれています。

生地の表面を見てみると、糸の玉がポツポツとあります。
こちらはネップと呼ばれるもので、古いリネンに見られる特徴です。
リネンの素材感と当時生地を作るために使用した織機によって生まれるようで、現行品ではあまり見られません。

これをいいと捉えるかは人それぞれかと思いますが、このリネンの素材感と服の雰囲気をグッと上げてくれていると僕は考えます。

 

このブラックリネンの生地は、 19世紀頃から20世紀初期頃のフランスにMaquignon(マキニョン)と呼ばれる馬商・家畜の仲買人たちが着た仕事着に主に使われていたそうです。

一番上に着ている服が、リネンのスモックです。

仕事の時、家畜の毛が付かないように、服の上から着るスモックがアンティークリネンのウェアの中でも、非常に有名且つ希少とされています。
(インディゴ染のものは、更に希少と言われています。)

ワークウェアとして使われていたということで、丈夫で機能的な生地が必要であったことが伺えます。
リネンという素材、厚みのある生地が採用されていたことが納得できますね。

現行品と比べてみた

左が1930年代のブラックリネン、右が現行品でスコティッシュリネンという種類のもの。右のものも、現行品の中では質の良いリネンになります。

同じ織機で作られたわけではなく、加工方法もまったく異なると思いますので、正確な対比にはなりませんが、見比べてみると違いがわかりますね。

着用したうえで、自分なりに所感をまとめてみました。

1930年代のブラックリネン

  • 表面がザラザラとしており、リネンの素材感を楽しめる
  • ガシっとした厚みのある生地なので、気兼ねなく着用可能
  • 着用していくと、生地が柔らかくなっていく経年変化を楽しめる
  • ツヤ消しの黒で、カジュアルな印象(シワもあまり気にならない)

現行品のスコティッシュリネン

  • さらさらとした生地感で、古いものよりも快適な着用感
  • 光沢感があるので、上品な印象
  • 柔らかい質感なので、シワが目立つ
  • 経年変化はあまりしない

このように比べてみましたが、古いもの・現行品にはそれぞれに良さがあり、そこに優劣はないと僕は考えます。
ただ、今回対比してみたことによって、それぞれの良し悪しに気づくことができました。

ものを実際に見て・触って・着てみることで、新しい視野を持つきっかけが生まれる。
服を通じて、大切な機会を得たなあと思います。

この服が”希少”な理由

この服の希少さについて、情報を集めてみた上で自分なりに考えてみました。

・80年以上も残っている
1930年代の生地が現在まで残っていて、且つそれが服として着れるくらい状態が良いって、奇跡に近いんじゃないでしょうか。
破れや擦れもまったくありませんので、保存状態が非常によかったことが伺えます。

・一般市場に中々出回らない
この年代の生地は、某一流ブランド等が資本を投入して買い占めているそうです。
なので、そもそも僕ら一般消費者の手元にまで回ってくることが、あまりないとのこと。
それだけ、品質が高いことが伺えますね。

・整備されていない流通ルート
この服は、ヨーロッパの職人の方が個人で着るために作ったものです。そして、この服をバイイングされた方が、その職人さんとたまたまご縁があり、在庫を分けてもらっています。
元々販売する目的でなかったものが、縁が繋がり僕の手元に。中々こんな機会ないと思います。

また個人的な見解として、 産業革命・機械化が進んだことにより、 当時この生地を織っていた織機は、もうほとんど存在しないのではないかと。
新たに生み出すことができないことも、希少性を高める要因の1つであると考えます。

これこそ“アンティーク”と呼べるものではないでしょうか?

購入した場所

こちらの服を購入した場所は、京都市中京区・御幸町通りにある「Homies」というビンテージショップ。
アメリカやヨーロッパのビンテージ・ミリタリーやワーク・古着等を主に取り扱っていらっしゃいます。

物量も非常に多いですので、店内を見回るだけでもとってもワクワクしました。

今回紹介した服は、常に在庫があるものではないと思いますので、もし運よく見つけられた方は試着だけでも是非してみてください!
見て・触って・着るだけでも、貴重な体験になると思います。

素敵なお店なので、気になった方はチェックしてみて下さい。
ホームページ: http://homies235.blog24.fc2.com/
インスタグラムアカウント: https://www.instagram.com/homies_kyoto/

最後に

この服から感じる縁。
欲しいと思って探していたわけでもないのに、長い年月を経て服となって、僕のところにやってきてくれました。
こういうのを、セレンディピティというんでしょうね。

古きを知ることができ、この服と出会えて本当によかったと思います。
また、一般的に販売されているものだけが、服の全てではないなあと。

この服は、これから先の将来ずっと残しておきたい大切なものです。
そして、「僕がおじいさんになる頃まで残して、何かの縁を感じた若者にいつか渡したいなあ。」なんて勝手に考えています。
長い歴史と僕の思いを込めて、後世に引き継げればいいなと思います。

今回はこの辺で。
この服を通じて、何かを考えるきっかけになっていただけたら幸いです。

読んでいただき、ありがとうございました。

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服と僕

コメント

  1. […] こちらもブログに書きましたね。 […]

  2. […] ったプルオーバーやスモックは、昔のフランスの画家や農作業している人たちを連想します。僕が以前購入した、ブラックリネンのプルオーバーにもどこか近しいイメージを持ちました。 […]