2021年3月 太いパンツ

エッセイ

 服を好きになり始めてからもう10年以上は経っているけど、未だに流行についていけているとは思わないし、日々目新しいコーディネートをすることもない。好きな服を着る習慣しか身についてこなかった。特にパンツは顕著で、デザインやブランドは違えど、基本的に太いパンツばかり履いてきた。太っていた頃は、物理的に履けるものが限られていたし、何より体形が目立つようなものなんて絶対に着たくなかった。消去法での選択、自分の嫌な部分を隠すための服。標準体型くらいに瘦せたとはいえ、未だに足は太いし、コンプレックスに感じないといったら嘘になる。けれど、この10年の間ずっと履いている中で、消去法ではなく能動的に太いパンツを選ぶようになっていた。誰かのコーディネートに強く憧れたわけでもない。スタイルと言うとかなり大袈裟な言い方になってしまうけれど、履いていて楽で、たっぷりとした生地から生まれる特徴的なシルエットがやけに気に入っている。

 太さにもいろいろある。腰から足元にかけてズドンと一直線に太いもの。裾を捲って、足首を少し出すくらいの丈にするのがマイルール。極端な太さに軽快さが加わる塩梅がいい。腰回りにゆとりがあって、裾に向かって少し細くなるようなものは、裾は捲らず靴にワンクッションするくらいが落ち着く。裾上げが面倒だからそのまま履いているようなちょっと気の抜けた雰囲気が、自分の気持ちを軽くしてくれている気がする。見る人によってはどちらも太いパンツに変わりないのだけれど、僕にとってはまったく別物。この2つには雲泥の差があるんだということを、声に出してしまうのもおかしいので、いつも心に留めている。

 過去太っていた自分があったから今があるみたいな肯定をするわけでもなく、身に着ける衣服が10年以上も変わらないのは、執着しているのか、成長していないのか、はたまた何も考えていないのか。変わらないことに対して、ネガティブに捉える人もいるかもしれないけれど、僕が履いているパンツはこれからも太いものばかりだろうし、変わらないというよりは変えたくないと気持ちが大きいと思う。もはや、ほぼ太いものしか持っていないので変えようもないし、懲りずにまた新しい太いパンツを買っているんだと思う。どうか「馬鹿の一つ覚え」とは言わないでほしい。

エッセイ
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服と僕

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